写真:ジェラード・ラムGerard Lum
フレンチ・メドウズ・サマーキャンプの参加者の多くは、キャンプの参加をその年を振り返る良い機会と感じているようです。キャンプへの参加を境に新たな日々が始まると共に、次の年へと繋がる個々人の成長を記録するイベントでもあります。誕生日や記念日、休暇といった年一回のイベントは、あっという間に時間が経ってしまいます。でも、一年という視点で振り返ると自分がどれだけ成長したのかを垣間見ることができます。
キャンプで過ごす時間はあっという間に過ぎる面もあれば、時間が止まったように感じる面もあります。日中は、食事をしたり、レクチャーを聞いたり、小川でリラックスしたりしている時間はゆっくりと、その時々のリズムで、流れていきます。
今年はたくさんのイベントのおかげで、私たちは時間という感覚を超えた何かを感じることができました。先ず、過去数年連続で、小さい子供を持つ家族がたくさん参加してくれました。子供たちは絆を深め、キャンプを元気にするエネルギー源となってくれました。料理を作り、工芸品を作り、バラエティショー(発表会)では劇を披露してくれました。子供たちはキャンパー達のために時間の番人にもなってくれました。子供たちの行動を観察することで両親は子供の成長を考える時間を持てました。
キャンプでの時間はあっという間に過ぎることもあり、この良い例が今回のキャンプでもありました。キャンプに長い間参加して下さっていたキャンパーが2人(Barbara Johnston BrownとWill Hoglund)、今年(2013年)5月に亡くなり、彼(女)たちの為に素敵な哀悼式を行いました。
Willはノースダコタ州ファーゴ出身で、GOMFが法人登記したのと同年の1971年にTochi Natural Food Storeを設立しました。Willはミネソタからポップコーン、サンディエゴのGold Mine Natural Foodsから醤油などの食材をキャンプに持ってきてくれました。彼は食品だけでなくアメリカ原住民の伝統にも関心を寄せていました。毎年Medicine Wheel(「聖なる輪」「生命の輪」「魔法の輪」「神聖な儀式」を執り行う場所。)を建て、キャンプ仲間に参加を呼びかけ、ドラムを叩いたり、瞑想したり、想いを共有していました。Medicine Wheelは地面上に描かれ、東西南北、上下、内を表し、サイクルを通じた自然を意味し、時間の経過と個人の内なる反応に対応します。Willはこの伝統を維持することをキャンプ仲間に託し、私たちはその意思を尊重していくつもりです。
Barbaraも地元で精力的に活動している人でした。彼女は夫のMichael Brownと共にカリフォルニアのサンフランシスコに住んでおり、バークレイでGreen Earth Caféを開いています。たくさんのマクロビオティックな友人の生活に関わり、料理教室の開催、持ち帰り料理の準備、パーティーのケータリング、ワークショップをしたりしていました。キャンプでの追悼の際には、彼女と時間を共にした人が一人ずつ立ち上がり、彼女のおかげで自分の生活がどれほど充実したものになったのかを話し、どれほど多くの人が彼女から感動をもらえたのか、ということが明らかに分かる場となりました。Brown夫妻は多くの面で―絶版となった本を再版するプロジェクトや、最近閉店したカフェから食物を寄付してくれることなど―キャンプをサポートしてくれました。
キャンパー達に愛された二人にさよならを言うのは悲しいことですが、時間が経過するのを受け入れたいと思います。時間は面白い単位ですね。それ自体は日、月、年を測るにすぎませんが、深く顧みると、それぞれの単位には重要な意味があります。
ある年のキャンプでヘルマンは継続性というテーマについて話をした際に、この単位の重要性についても話をしていました。彼の話を意訳すれば、出来事の重要性はその継続性に求められます。相対界の出来事には常に始まりと終わりがあり、全ては変わるものです。それでも大切なのは自分たちが始めた物事の継続性にあります。
私の解釈としては、時間はスタートしストップする様に思え、私たちは出来事の始まりと終わりを測ります。そこに無限という時間を超越した特性を考慮すると、物質の核が見えてきます。Willの場合、単純性・純真という時間を超越した特性を持っていました。毎年キャンプに参加し、静かに定期的に他のキャンパーと交流していました。毎年何千マイルも運転し、何年にも渡り子供と孫をキャンプに連れて来る、キャンプが大好きな人でした。毎年欠かさずキャンプへ備品を提供してくれ、Medicine Wheelを始めとするキャンプでのイベントも欠かさず開いてくれました。彼にとってそれらは大切なことでした。
Barbaraも信念のある人でした。良い食を好み、素晴らしいシェフでした。人々とマクロビオティックが持つ力強さが大好きでした。その可能性について話し、試食として食物を提供することを通じ、出会う全ての人と自分の考えを常に共有していました。自分にとって意味のある大義を大切にすることで、他の人がそれから恩恵を得ることができました。
キャンプ自体も継続性のあるものです。44年間、同じ場所でキャンプを開けていること自体、まるで生きているかのようです。これまでの全キャンプと、そのいろいろな思い出を振り返ることができます。全ての先生と彼らの講義、塩や望診、暴露話など。長年かけてたくさんの子供たちが参加してくれました。現在、10代の子や大人になった「キャンプ」ベイビー達も参加者でした。3世代に渡り何年もの間、キャンプに参加してくれた家族もいました。成長した両親が大人になった子供を連れて参加することもあれば、逆の場合もありました。
それから、キャンプ自体のパラメーターもあります。例えば、小川の水嵩が高い年もあれば、貯水池の水嵩が低い年もあります。野生の動植物も変化します。新しい鳥が出現し、テントウムシが孵化し、熊がウロチョロしている時もあります。木々についても同様です。大きな木は時間の経過を感じさせず、小さい木は大きく成長していきます。
フレンチ・メドウズ・サマーキャンプの持続性は何なのでしょう?何年もマクロビオティックの同志が同じ場所に集まっているからでしょうか?薪火を使い、全粒穀物、植物ベースの食物を料理しシェアしてきたからでしょうか?キャンプに参加し、家族と同じくらい強いコミュニティを築いてきたたくさんの参加者のおかげでしょうか?
フレンチ・メドウズで形成されてきたスピリットがあります。それは友情、友愛であり、キャンプ地という場所の限界を超え、持続してきました。参加した年以降に参加できずにいた人たちも、自分が過ごした年のキャンプを考えるだけで、感慨深さを思い出すようです。
フレンチ・メドウズ・サマーキャンプは毎年7月に開催しています。毎年、最後の日の前日のキャンプファイヤーでAuld Lang Syne(オールドラングサイン。蛍の光)を歌います。たくさんの人にとって、キャンプは新しい年の始まりであり、この歌は時間の経過を象徴すると共に、新たな繁栄の年を祈念するものとして歌われています。
“For auld lang syne, my dear, for auld lang syne. We’ll take a cup of kindness yet, for auld lang syne”
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ジュリアはFood and Intuition 101, Basic Macrobiotic Cooking, French Meadows Cookbookの著者です
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「フレンチ・メドウズ 思い出は永遠に(French Meadows Timeless Memories)」は日本CI協会・編集部が和訳したものです。
GOMFの連絡先は下記となります。
E-mail:gomf@earthlink.net
英語版を読みたい方は下記のウェブサイトをご参照ください。
http://www.ohsawamacrobiotics.com/pdf-downloads/macrobiotics-today-pdf-nov-dec-2013-detail